打撃だけで勝ち上がりPRIDEの世界でも
TOP3の選手になりました。
皇帝ヒョードルを筆頭にアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、そしてミルコ。
ヒョードルとの挑戦権をかけて組まれたノゲイラとの試合は、
私も会場まで見に行きましたが壮絶なものでした。
ほとんどミルコ有利な展開。
ミルコも勝ちを意識したのでしょう。が、
ラスト何分かでノゲイラの腕十字が決まります。
ミルコの初タップ。(タップとはギブアップのゼスチャーで相手の体や床を叩く事。)
そして一本負け。
観客は総立ちで拍手を贈っていましたが、ミルコファンの私は
一人、ブーたれていました。
あの試合後のミルコの表情が今でも忘れられません。
ようやく掴みかけたチャンピオンとの挑戦権。
その間ミルコは警察官を辞め、格闘家に専念する傍ら
自国の事を憂い、クロアチアの国会議員にもなりました。
当時、小泉元首相とも議員として会談した事もありました。
また議員報酬は全てクロアチアに寄付していたと聞いています。
すごい事ですよね、すごい人です。
だからこそ私は好きになりました。
人一倍平和を望むのに、格闘家として戦わなくてはいけない矛盾。
彼はそれに随分悩んだそうです。
でも伝わっていますよ、日本人には。
今ではPRIDEはなくなってしまい
DREAMやHIRO'S、戦極などがその後を引き継いでいますが
ミルコは日本を戦場に選ばず、アメリカに渡ります。
知る人ぞ知る、アメリカの総合格闘技の頂点、UFCです。
塩ワイフさんからもご指摘があったように意外とK-1とPRIDEの
ルールの違いを知らない方が多いのでここで説明いたします。
しっかり心に刻んでおくように。
K-1とは空手、カンフー、キックボクシングなどの立ち技格闘技
(いわゆるパンチ、キック、膝蹴りなどの打撃攻撃を主とする格闘技)の
最高峰を決めるために開かれたイベントです。
基本的に試合が汚くならないように「つかむ行為」「投げ」「倒れた相手への加撃」などが
禁止されていて、純粋にパンチとキックだけで勝敗を決めます。
時間もボクシングのように3分X3ラウンド制。
対してPRIDEは全ての格闘技が対象となっていて
パンチ、キック、投げ技、関節技、つかみ行為、倒れた相手への加撃も有効です。
限りなく喧嘩に近いルールです。何でもありなのです。
そのためK-1ルールでしか戦ってきていない打撃系格闘家などが
柔道などの組み技系格闘家に投げられて関節技を極められてしまう事なども
しばしば。オールラウンドで何でも出来ないとすぐに負けてしまいます。
時間も15分・8分・8分の3ラウンドという非常に変則的なものです。
魔裟斗などもK-1チャンピオンですがPRIDEに出場したら1分も
もたないでしょうね。
一時期、K-1からも移った選手がいましたが勝てるレベルではありませんでした。
ですからK-1の選手はほとんどPRIDEなどの総合格闘技のルール
では戦いません、その怖さを知っているからです。
その中でK-1からPRIDEに移ったミルコというのは相当凄い事で、
また、パンチとキックだけで勝ってしまう事などは奇跡に近いです。
最終的にミルコはPRIDEの無差別級のチャンピオンになりますが
その最後の最後までパンチとキックだけで戦います。
当然PRIDEで優勝すれば世界で一番強い男になる訳ですから。
60億人の頂点。
そこには内戦で亡くした父と幼少期の壮絶な記憶があるのでしょう。
強くなければ生きていけないという記憶が。
チャンピオン、ヒョードルとの一戦の前にPRIDE側が作った煽りV。
是非見てみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=ytY1iC-besQ
私はミルコ・クロコップが大好きであります。
本名「ミルコ・フィリポビッチ」。’74生まれの35歳。
職業が警察官だったため、クロアチアの警察官という意味で
クロコップとなりました。(CRO+COP)
’95まで続いたクロアチアの内戦のために
目の前で人が殺されていく少年期を過ごしたそうです。
当時K-1で初代チャンピオンとなるブランコ・シカティックのジムで
キックボクシングを始めます。
その後は皆さんもご存知の通りK-1などで活躍するのですが
私が特に好きになったのはK-1以降、PRIDEに転向して総合格闘技
を始めたミルコです。
立ち技のルールから何でもありのルールへ。
当初、総合格闘技を始めたキッカケは嫌々だったらしのです。
当時、K-1で負け続けていたミルコにK-1の主催者側から
年末の格闘技のイベントにプロレスラーとの対戦を組まれます。
これが最後のチャンスだと。
これで勝たないと今後出場させないと言われたのです。
そして悩んだ結果、対戦して見事勝利します。
しかもタックルにきたレスラーに顔面への膝蹴り1発!
ここからミルコは総合格闘技への道を歩き始めます。
PRIDEへの転向です。